※本ブログでは、普通のバイオリンをアコやアコースティック、エレキバイオリンをエレキと表記していきます
エレキバイオリンについて、皆さんはどんなイメージがありますか?
おそらく自宅練習用、夜間練習用というイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
しかし!アコースティックバイオリンを約20年、エレキバイオリンを5年以上弾いてきた私はこう主張したい!
エレキはアコの自宅・夜間練習代わりすべきではない!
エレキはもはや別の楽器である!
なぜ「エレキを自宅・夜間練習用」にオススメしないのか?
アコースティックバイオリンって、意外と音が大きいんですよね。
ご自宅で練習するのに苦労されている方も多いのではないでしょうか。
そこで「自宅練習用」「夜間練習用」としてエレキの購入を検討している方も多いと思いますが、その観点で言えば正直エレキはおすすめしません!
アコとエレキ、同じバイオリンではありますが、個人的には別の楽器と考えた方がよいとまで思っています。
その理由はこちらの3つです。
- 重さ
- 形
- 音
重さの違い
私が最初にエレキを持った時に感じたのは
「あれ、意外と重い!?」
ということでした。
そりゃそうですよね。サイズ感は同じくらいでも、アコのボディ内部には魂柱が立っているくらいで後は空洞。エレキは音を電気信号に変換する基盤やら配線やらが詰まっていますから。
この違い、結構重要で、
ボディが重い=あごで挟む力を強くしなければ!
という意識が先行して、あごや身体の左側に力が入りすぎる癖がついてしまう可能性が高く、良い音を鳴らすことが難しくなってしまいます。
これがエレキを練習用としておすすめしない1つ目の理由です。
形状の違い
アコの場合、大体どのバイオリンも形は一緒ですよね。もちろん値段や作られた時期などによって違いはありますが、そこまで大きな違いはありません。
ところがエレキは、種類によって全然形が違います。
ちょっと比べてみましょう。
全然違いますよね!
1つ目のYEVシリーズはまだアコっぽいといえなくもないですが、2つ目のNXTシリーズは一見してもバイオリンとは思えないくらいです。このデザインの違いがエレキの魅力であるともいえるのですが…
これだけ形が違う以上、やはり弾いている感覚はアコとは全然違います。
ポジション移動の感覚もそうでしたが、個人的には顎当て・肩当てが特に違和感を覚えたところでしょうか。
重さと同じく、エレキで練習したことにより身に付いてしまった癖が、アコを弾くときに悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いです。
これがエレキを練習用としておすすめしない2つ目の理由です。
エレキの形の違いについては、今度別の記事でもっと詳しくご紹介する予定です!
音の違い
アコとエレキでは、音の出し方が全く違います。
極端な言い方をすると、
- アコ : 楽器本体から音が出る
- エレキ : 楽器本体からは音が出ない
アコを弾くためには、楽器と弓があれば大丈夫ですよね。
ところがエレキは、楽器と弓だけでは完結しません。
弦の振動を駒の部分にあるピックアップで電気信号に変換し、楽器と接続した楽器用アンプから音を出す、という仕組みです。
アンプを操作するだけで、初心者でも何となく良い音、心地良い音を出すことができます
さらに、楽器とアンプの間にエフェクターと呼ばれる音色を変える機材を接続することで、さらに細かな音作りをすることができるのがエレキの醍醐味でもあります。
自動的にビブラートを掛けてくれたり、大人数で演奏しているような音にしてくれたり、まるで大きなホールで演奏しているかのような音にしてくれる機材なんかもあります
逆に言うと、本来自らの技術で出すべき良い音を、機材に頼って出すこともできてしまうのです。
本番でアコを演奏するのであれば、やはりアコで良い音が出せるように努力すべきだし、安易にエレキを練習用として使ってしまうと、この努力の妨げになってしまうのではないか。
これがエレキを練習用としておすすめしない3つ目の理由です。
ちなみに、エレキに「自宅・夜間練習用」というイメージがついた最大の理由は、おそらくヤマハの「サイレントバイオリン」シリーズではないでしょうか。
よく「エレキバイオリンとサイレントバイオリンの違いって何?」という質問がありますが、仕組みはどちらも全く同じものです。
というか、「サイレントバイオリン」はヤマハが出しているエレキバイオリンの商品名ですので、お酒で例えると
- エレキバイオリン = ビール
- サイレントバイオリン = サントリーのプレミアムモルツ
といった感じでしょうか。
サイレントだから全く音がしない!ということではないのであしからず。
(エレキとサイレントについてはいろんな方が記事にされてますので調べてみてください)
まとめ:エレキにはエレキの魅力がある!
いかがでしたでしょうか。
いきなりエレキのデメリット的な部分をお伝えしてしまいましたが、別に私は「エレキをオススメしない!」と言っているわけではありません。
エレキが「自宅・夜間練習用」だと思われることが嫌なのです。
冒頭にも書いたように、私はアコとエレキは最早別の楽器だとすら思っています。
ですのでアコの代わりではなく「エレキバイオリン」という一つの楽器の魅力を、このブログを通して皆さんにお伝えしていきたいと思います!